にたまごほうれん草ブログ

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同社内の営業からの金にならない仕事依頼への対策案

そもそもの背景

飲んでたときに同席者(とある企業の研究者)が、「営業が金にならない仕事を丸投げしてきて対応するのがつらい」とこぼしていたので、対策を考えていました。こういう、部門をまたいだ面倒事は管理職がちゃんと交通整理して然るべきですが、十分機能してなさそうなのでボトムアップで提案してみれば、と書いてみました。

というわけで以下が本文。

用語定義

以下では、営業部門で顧客からの仕事を投げてくる人を「営業」、受ける側の人を「研究者」と記載します。

営業側の困った振る舞い

  • 大企業相手の営業で、重要案件をゲットするための関係維持の口実とかで、何かしら細かい調査とかを振ってくる
  • その仕事で顧客からお金をとろうとしない

研究者が困っていること

  • 営業の顧客関係維持に役立っているだけで、技術的蓄積もあまりなく、研究者側の大した成果にもならない
  • 研究者側は営業から軽視されていると感じている
  • 結果、モチベーションもあがらない

想定される営業側の言い分

  • 最終的には会社全体の売上につながる
  • 研究者も実務に貢献できるしいいだろう
  • 顧客とは保守契約を締結していてその工数の範囲内だ
    • 結んでるかもしれないし結んでないかもしれない
    • 研究者側は、そういうことあんまり教えてもらえないよね

困った営業への対策

オススメの運用

メールなどで作業依頼が降ってきたら、「では、まず見積りしますね〜」と返す。見積りするのにかかりそうな時間は、このときに伝えておく。(明日まで、とか出張が入るので来週月曜日に出します、とか)

見積りを作成したら、次項の※1で洗い出したデータや仕様とともに提示。「これこれのデータをもらって内容を○日で確認したら、着手できる日をお伝えしますね」と一旦返信。着手したら何日でできるか、は見積りに含めておく。

作った見積りは、チーム内でリストにして管理しておきましょう。

具体的な内容は次項以降に記載します。

仕事が降ってきたら、まず見積りをしよう。

「○○なデータの傾向分析」だと仮定

  • タスクを細分化する
    • データの受け取り&内容不備の確認
    • プロジェクトの作成(管理用ディレクトリやリポジトリなど)
    • データの前処理
    • 実装
    • 学習、チューニング・・・etc
  • 見積りする中で、とある工程の作業に必要なデータを全部洗い出す(※1)
  • 各工程の工数と、労務単価をExcel等で整理し費用としてわかるようにして提出

個別の見積りを行ったら、チームで「外からの仕事の依頼」に対する見積りをリスト化する。

  • 基本事項:案件名、工数労務単価、原価(工数労務単価)
  • 一緒にまとめておくといいもの
    • 作業の難易度(研究者での作業が必要か、他の人でもできるか)
    • 依頼された作業によって得られるもの(ないならない、と書いておく)
    • 作業の支障になったこと(必要なデータの提供遅れ、営業側の動きが悪くて期限前に詰めた、など)

見積りをする運用にすると何がいいのか

  • 詳細に見積りをする中で(※1で)、あらかじめ先方からもらっておくデータや仕様を明確にすることで、着手してからあれくれこれくれと言わなくても済む
  • 少なくとも即日着手というのはできなくなるので、依頼する側も余裕を持って依頼するようになる(はず)
  • 営業側に「その作業依頼で、実質○○円分の稼働がかかってんだぞ」を可視化できるようになる
  • いずれはそれを元に営業部門と交渉する材料になる
    • 営業とその先の顧客に「○○円分の価値」を提供しているということを明示することで、営業に金をよこせ(金をもらってこい)と言える
    • 余計な作業を振るな、とも言える
    • 営業へのメリットもある
      • 作業リストは、もし営業が顧客と保守契約を結んでいるのであれば、顧客への保守費用上乗せの材料になる
      • 研究者に依頼する必要がある仕事とそうでない仕事がだいたいわかるようになる(業務委託PGを一人雇っておけば解決できるとか)
      • (研究者にとっての)定型業務をシステム化することで効率化する、という社内案件も作れるだろ

実際のチーム運用への適用

チーム内で合意をとろう

いきなりひとりだけでやり始めても、営業から上長にクレームが来るだけなので、最初のステップはチーム内で合意を得る必要がある。ここは慎重に。

チーム内打ち合わせの場が定期的にあるなら、「こういう営業に困ってて、それへの対策を考えてきた」と提案してみる。

見積り作業という手間が増えるので、反対する人も出るかもしれない。だけど、それすらやれない人はそもそも仕事ができないとか云々言う。スキルが属人化の懸念とかもある。

提案者自身が一番困っている立場であれば、上長(できれば管理職)に「自分が困ってるのでこうしたい。営業から文句言われたらかばってほしい」と味方につけておこう。上長・管理職以外で反対する人がいたら「てめえらが困ってねぇってだけで反対するな。俺が困ってるんだから助けろ。」と強引に進めるのもあり。ただし、最初に管理職を味方につけようね。

合意がとれたら営業に伝えよう

短期間にポコポコと営業から依頼が振ってくる状況であれば、合意がとれた次の依頼から以下のように返してみよう。

「チームの方針で、細かな依頼でも、見積りを作成することになりました。つきましては、まず見積りしますので○日ください」

てな感じで。で、上記の「オススメの運用」の内容を進めていく。

力こそパワー

上長よりもっともっと偉い人とも仲良くなっておきましょう。周りが敵だらけになったら、上長ごと力でねじ伏せてくれます。